オピニオン

雑食系おじさん@クリスマス

 最近の若者はクリスマス・デートに精力を注がなくなった。それだけではない。酒を飲まない・車に乗らない・旅に出ない・スキーをしない・麻雀しない・恋愛がメンドくさい――様々な〝楽しいこと離れ〟を起こしているようだ。こうした状況に「最近の若者は元気がない」と苦言を呈する諸先輩方も多数いらっしゃるようだが、不況下の〝嫌消費〟の側面もあるだろうし、個人的には「別に良いではないか」と思う。かつての職場で同僚だった女性が「最近入社して来るのは草食系男子ばかりで、貴方みたいな肉食系がいなくなってツマラなくなった」と言う。そんな言われようの私も、昔からインドア派・体育会系飲み会は苦手・スイーツ好きなおじさんだ。それから推し量ると今の若者はどれだけ〝草食系〟なのか、と思う。ただ、80年代バブルに浮かれた肉食系のお兄さん方、それ以前の団塊の世代、さらに以前の高度成長時代を支えた「男らしいふるまいの男達」――その時代時代の澱を心身ともに溜め込み、今はツケを払わされていないだろうか? と思う。パターン化された「○○らしさ」や「あるべき論」の価値観に縛られ、これからの老後をしなやかに送っていけないのではないだろうか、とも危惧する。
 超少子高齢化社会に向けて、男が介護や子育てのために一時休職するのも、奥さんの仕事の都合で転勤するのも「あり」だ。そして〝勝ち組〟も〝負け組〟も、〝リア充〟も〝負け犬〟も、本当は「ない」。これからは、カテゴリーに固執せず、各々がそれなりに生き様を見つける。そして色気は失わない――そういう雑食系おじさんとして年を重ねて行きたい――と思う2010年年末。「○○系」とカテゴライズすること自体、もうアウト・オブ・デートなのだが……。



(2010年12月24日掲載)



前後のオピニオン

分業のメリットを示すエビデンス
(2011年1月14日掲載)
◆雑食系おじさん@クリスマス
(2010年12月24日掲載)
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(2010年12月17日掲載)