オピニオン  
 
遠く離れた国の災害
 
   アフリカのソマリアでは現在、60年に一度の大飢饉が発生して万単位の人間が死亡、1千万人規模の難民が国外に流出していると聞くが、日本ではあまり話題になっていない。そもそもアフリカでの大飢饉についてはこれまでにも幾度となく耳にしているので、こちらもいくらか慣れてしまっているのは確かだろう。遠く離れた大陸で起こっている、悲惨だけど俄かにはどうしようもない話、という認識が全くないといえば嘘になる。
 しかし東日本大震災を経験した後では、捉え方も多少は変わってくる。日本では原発事故、彼の国では内戦以降の無政府状態がそれぞれの事態をややこしくしているが、災害によって短期間に多くの人間の命が失われたことには変わりがない。そう考えると個人的には、以前よりも確実に、災害というものに対する想像力がついたような気がする。他国の人々の痛みも解るようになりました──とまではいかないが、日本は自力で復興する術を沢山持っているだけ、多くの国より恵まれているという当り前のことには気付く。
 それだけに震災から5か月近く経った今も、被災者を無視したような政局の混乱が続き、復興に支障をきたしていることは残念でならない。「千年に一度の大災害」などと騒ぎながらも、結局はみんな意外とイージーに考えているのでは、とも思えてしまう。そんな中、松本龍・元復興担当相が就任会見で発した「民主も自民も公明も嫌いだ」という言葉には、真意のほどはともかくどこか共感してしまいそうなパンチ力があった。しかしそんな氏も、結局は僅か9日で辞任という衝撃的な結果に終わっている。ソマリアの人々がこんな日本の一部始終を見たら、果たしてどんなことを考えるものなのだろうか。

(2011年8月5日掲載)
前後のオピニオン
定額負担制度の導入を巡る攻防
(2011年8月19日掲載)
◆遠く離れた国の災害
(2011年8月5日掲載)
1回50ドル、2回で100ドル
(2011年7月29日掲載)