オピニオン

注目を集めるOTC類似薬の給付見直し問題

 「今までに何度も浮かんでは消え、浮かんでは消えていった問題だ。またここに来て浮上するとは思わなかった」――。政府が取りまとめた社会保障改革案に、OTC類似薬をはじめとする医薬品の給付見直しが盛り込まれていることに対し、ある業界関係者は深いため息をついた。
 OTC類似薬の取扱いを巡ってはこれまで、自民党政権下に財務省の財政制度等審議会が、保険給付から除外するように建議したほか、民主党政権に移行してからも、09年の事業仕分けで「保険適用から除外すべき」と結論付けられた経緯がある。もっとも、その都度、厚生労働省や業界団体の抵抗にあって実現には至っていない。
しかしながら、今回の社会保障改革案に盛り込まれた「医薬品の患者負担の見直し」については、これまでに反対姿勢を見せてきた厚労省が、保険外しとまでは言わないまでも、「医薬品の患者負担を市販医薬品の価格水準も考慮して見直す」と説明。香取照幸・内閣官房審議官は「全ての処方せん薬を一律で3割の自己負担にするのは合理的ではない」と強調した。
政権交代を果たした民主党政権が取りまとめた社会保障改革案については、「自民党政権下から厚労省が主張してきた内容とほとんど変わらない」(業界関係者)との見方が強い。そうした中で、再び浮上し始めたOTC類似薬の問題について、冒頭に記した業界関係者は「厚労省がこの問題にいよいよ本腰を入れてくるだろう」と警戒感を強めている。



(2011年6月24日掲載)



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