オピニオン  
 
健康志向の「不健康」
 
   例の「納豆ダイエット」の番組放映直後、知り合いの奥方が「納豆買い」に奔走した顛末を聞き唖然とした。スーパーを何軒はしごしても品切れ状態で、怒りの収まらない奥方を旦那はこう諭したという。たかが納豆のためにスーパーを何軒も回る元気があるなら、ウォーキングでもしたほうが余程ダイエットになるのではないか。この、至極真っ当な旦那の意見に、奥方は噛み付いた。そんなことをしたらお腹が空いて何か食べたくなるから余計に太る…。そこには、運動や間食を我慢するという健全な発想はまるでない。そもそも「納豆にダイエット効果がある」という番組を観て、即座にスーパーに走るのは、果たして本当に「健康(あるいは美容)への関心が高い人」なのだろうか。間違いではないがどうもそれだけでは違和感がある。「広告や宣伝に左右されやすく」「情報を吟味する能力に欠け」「しかも努力しないで健康(きれい)になりたい」人たち。こう定義すると、ようやくしっくりくる。強迫観念的な「健康(美容)志向」を抱く一方で、努力や我慢はしたくない。こうなると単に安易というよりは、心のありようが「不健康」と言わざるを得ない。世は挙げて健康ブームだが、どうもその健康を志向する「心のありよう」自体が「不健康」な状態の人も、かなりの割合で存在するようだ。OTC業界もこうした「健康に関心の高い」層に訴えようと躍起になっているが、まずはこの「不健全」で「不健康」な発想を何とかしないと、科学的な有効性・安全性に基づく、ある意味で「健全な」医薬品の世界の考え方は伝わらないような気がしてならない。

(2007年2月12日掲載)
前後のオピニオン
農薬バレンタイン
(2007年2月16日掲載)
◆健康志向の「不健康」
(2007年2月12日掲載)
やせるワクチン?
(2007年2月2日掲載)