オピニオン

薬機法改正と調剤報酬改定

 医薬品医療機器等法(薬機法)改正に向けた厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会の議論が終了した。常に紛糾した薬局・薬剤師関連では、調剤時のみならず、服用期間中を通じた患者のフォローアップを行うことなどを薬機法や薬剤師法に明記。加えて、薬局の機能分化を法令上で明確化し、機能を備えた薬局が名称を表示できる仕組みを構築することに決めた。オンライン服薬指導も一定条件で可能にする方向性を打ち出した。
 法改正事項については何とか取りまとめに漕ぎ着けたものの、議論自体は薬局・薬剤師にとって厳しい内容が続いた。調剤医療費の拡大に険しい目線を投げかける日本医師会の委員を中心に、患者代表の委員からも厳しい意見が相次ぎ、薬剤師代表の乾英夫委員(日本薬剤師会副会長)は常に孤立無援の戦いを強いられた。
 こうした経緯を踏まえて、制度部会では取りまとめ案とともに、医薬分業の現状などを整理した「別添」もまとめ、医療保険での対応にも言及した「診療報酬・調剤報酬で医療機関の薬剤師や薬局薬剤師を適切に評価することが期待される」との記述が盛り込まれた。背景には、医科・調剤の改定比率「1:0.3」に切り込み、病院薬剤師を評価するための財源確保を狙う医療団体側の思惑もある。
 事実、日本医師会の委員は会合で「医療機関の薬剤師を評価し、雇用を促進することは医療全体にとっても重要だ。そのための財源確保の議論は必要になる」と主張。これには乾委員も「制度部会の議論が中央社会保険医療協議会の議論に跳ね返るのはおかしい。中医協で議論すべき事項を記述すべきではない」と即座に反論した。20年度診療報酬・調剤報酬改定議論の本格化を前に、早くも医療団体内の駆け引きが始まっている。



(2018年12月21日掲載)



前後のオピニオン

理解の促進
(2019年1月11日掲載)
◆薬機法改正と調剤報酬改定
(2018年12月21日掲載)
武田薬品とサンバイオ
(2018年12月14日掲載)