オピニオン

新型コロナとお寺

 2020年に入り、新型コロナウイルスに振り回される日々が続いている。昨年末に「中国で原因不明の肺炎が流行っているらしい」という情報を聞いた当初は、今のような世界規模での問題に発展するとは全く想像もつかなかった。最近では、不要不急の外出が求められていることもあり、仕事や生活物資の購入時以外では、外出せず自宅で過ごす日も多くなった。治療薬やワクチンが開発されるまでは、外出を伴う趣味の実行は自粛しなければならないのだろう。
 商売をしている人にとっては特に影響は大きいようで、連日、飲食店の不況や休業補償に関するニュースが絶えず流れている。確かに、お客さんが来店しなければ御足をいただくこともできず、生活に困窮する。〝商売〟ではないが、意外と影響が大きいのは「お寺」だ。参観料や御朱印関連の収入減少をはじめ、「3密」を避けるべく、法事の取り止めや葬式の縮小も相次いでおり、非常に苦しい状況に陥っているという。
 近年、人々の生活習慣や宗教観、価値観が大きく変化しており、生活の中で「お寺」の存在意義が薄れ、その環境は悪化している。檀家が多く、規模の大きいところは、それでもまだマシなようで、小規模のところでは、住職の副業は当たり前。本業での年収が300万を切るところも少なくない。おまけに休業補償など公的支援の対象外だという。新型コロナの問題が収束した時、地元の「お寺」は生き残っているのだろうか。



(2020年5月8日掲載)



前後のオピニオン

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(2020年5月11日掲載)
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(2020年5月8日掲載)
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(2020年4月20日掲載)