オピニオン

「検査してほしい」と思うのはもっとも

 新型コロナウイルスのPCR検査の基準がようやく見直される。「37.5度以上の発熱が4日以上続く」との基準があったがために検査を受けられず、重症化した人、さらには命を落とした人も少なくないだろう。少なくとも志村けんさんが亡くなられたときに、見直されるべき基準であったと思う。私の友人にも「今の症状では検査は受けられない」と不安を抱えていた人がいた。
 さらに問題だと思ったのは「検査してもらえない。検査してほしい」とSNSで訴えた人に、非難の声が殺到したことである。「保健所はパンク寸前だ」「みんなに検査していたら医療崩壊が起こる」といった理由だ。しかし今の時期、熱が出て咳が出たら、新型コロナウイルスに感染していないかと不安に思うのは当たり前で、「検査してほしい」と思うのはもっともなことだと思う。国民がいつでも安心して医療を受けられるのが、日本が誇る「フリーアクセス」だ。新型コロナにおいても、国民が検査を希望したら検査してもらえる、そういう体制がとられるべきであった。相談窓口やコールセンターに相談してから、指定医療機関の帰国者・接触者外来を通してPCR検査を実施する体制となっていたが、やはりかかりつけ医が直接PCR検査を依頼できる形が望ましかったであろう。少なくとも、保健所に業務が集中する体制は避けるべきだったと思う。さて、筆者が住んでいる地域でもドライブスルー検査や検査センターの新設など、PCR検査体制が拡充してきた。少し安心してきているところである。



(2020年5月11日掲載)



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(2020年5月22日掲載)
◆「検査してほしい」と思うのはもっとも
(2020年5月11日掲載)
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(2020年5月8日掲載)