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濫用のおそれある医薬品への対応

 コデインなどの濫用のおそれのある医薬品への対応を巡り、厚生労働省や各団体は対応を急いでいる。厚労省医薬・生活衛生局総務課薬局・販売制度企画室の太田美紀室長は本紙のインタビュー取材に応じ、原因を究明するための厚生労働科学研究班を立ち上げたと説明。日本薬剤師会や日本チェーンドラッグストア協会も対応に力を入れだした。
 厚生労働省が公表した「医薬品・医療機器等安全情報(№365)」によれば、10代の薬物関連精神疾患患者の4割が市販薬の濫用によることが判明。また、OTC薬の販売制度の遵守率を調べた厚労省の調査結果では、「濫用などのおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応」で、遵守率が52.0%と前回調査から10ポイント以上悪化しており、一般メディアも取り上げるほどの社会問題化しつつある。
 こうした状況に対して太田室長は本紙に「OTC薬を食品などと同様に『モノ』として扱っているような傾向が、供給側・購入側の双方にあると感じている。医療用医薬品に比べて、医薬品としてのリスクが軽んじられている部分もあるのではないか」と警鐘を鳴らす。JACDSの池野隆光会長も10月18日の会見で「若者の興味本位な医薬品の使用が起きているが、事実はきちんと受けとめて対応していく」と語る。
 医薬品の適正使用に向けて国民・生活者への周知・啓蒙活動はもちろん大切だが、OTC薬を供給する薬局・薬剤師の意識向上も重要なカギを握る。医薬品医療機器等法改正や調剤報酬を巡る議論で、薬局・薬剤師に焦点が当たっているなか、OTC薬の適正使用に向けた情報提供活動も注目される。



(2019年11月1日掲載)



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