オピニオン

かかりつけ医 with AI

 新薬開発で大きな期待が寄せられているAI(人工知能)。▽開発期間の短縮▽費用削減▽成功確率の向上――などが見込まれ、AI創薬により開発費が業界全体で1.2兆円削減するという試算もある。製薬企業の中にはIT企業とAI創薬の共同研究を進める企業もある。
 一方で、個人的にAIに期待したいのは、医療の均てん化だ。医療のオピニオンリーダーに取材すると、必ずといっていいほど出てくる課題が「標準治療の浸透」で、便秘やニキビといった一般的と思われる病気でも、クリニックなどで標準的な治療がなされずに重症化し、大学病院に紹介されるケースがあると聞く。セミナーでも「診断がつくまでに何年もかかった」という話は少なくない。厚生労働省が「風邪に抗生物質は控えて」という手引書を作成したのは昨年の話だ。
 その厚労省が推進する「かかりつけ医」。日本医師会は「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して~」などと位置づけているが、そんな医師が身近にいるだろうか。紹介状なしで特別料金がかかっても大病院に行きたい患者の気持ちもわかろうというものだ。ちなみに日本の医師数はというと「35億」(本当は31万9千人)と最多を更新。
 そこでAI。医師の問診や検査結果から「病気の診断」「標準治療の提示」「専門医療機関への紹介」などをAIがサポートしてくれると安心だ。これなら診療報酬が多少高くなっても納得できよう。



(2018年1月19日掲載)



前後のオピニオン

薬局・薬剤師の信頼回復に道筋を
(2018年1月26日掲載)
◆かかりつけ医 with AI
(2018年1月19日掲載)
謹賀新年
(2018年1月12日掲載)