オピニオン

薬局・薬剤師の信頼回復に道筋を

 「薬剤師が関わった不祥事が次々と露見し、長年にわたって築いてきた薬剤師への(社会・国民からの)信頼は失墜の一途を辿った」――。日本薬剤師会の山本信夫会長は、1月17日に開いた新年賀詞交歓会の挨拶でこのように語る。一連の不祥事が2018年度調剤報酬改定に影響したことは否めず、大型門前薬局を対象にした「外枠」での引き下げについて「自ら招いた結果」と冷ややかに見る関係者は多い。
 昨年はC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品流通問題を皮切りに、同一グループ内の他店舗が受けた処方せんを自店舗で受けたように偽って保険請求する、いわゆる「付け替え請求」問題など、薬局・薬剤師の不祥事が目立った。
 発覚した一連の不祥事の中でも特に、いわゆる「付け替え請求」などは、「確信犯的に行われていたのではないか」(薬剤師会関係者)と見られても仕方の無い要素が多い。処方せん集中率を下げて、低額の調剤基本料からの脱却を図る。処方せん応需枚数の多さと集中率の高さに応じて、調剤基本料に差を付ける現行制度の本質を踏まえれば、誰もが容易に推測できるだろう。
 山本会長は賀詞交歓会の挨拶で「真摯に反省して原因を速やかに解明し、不祥事を二度と起こさないように万全の対策を講じて、失った信頼回復に努める」と強調したが、日薬が策定する「薬剤師行動規範」の遵守徹底といった自主的な取組みを含め、調剤報酬や医薬品医療機器等法での対応など、幅広い対策で信頼回復に向けた道筋を付けてほしい。



(2018年1月26日掲載)



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(2018年1月26日掲載)
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