オピニオン
謹賀新年
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、新年早々に重たい話ではあるが、昨年に決定した平成30年度の診療報酬改定並びに薬価制度の抜本改革の骨子は、製薬業界とって非常に厳しいものとなった。薬価改定が▲1.65%となったことに加え、当初より製薬業界が危惧していた、引き下げや抑制を主眼とする薬価制度の導入が現実のものとなった。国家予算における社会保障関係費の抑制について、その大半を薬価に求める構造はこれまでと全く変わっておらず、日本製薬団体連合会をはじめとする業界団体が、揃って“懸念”を表明したことは記憶に新しい。
C型慢性肝炎治療薬に代表されるように、新薬の医療における貢献度は非常に高い。ある業界の方は「薬価は製薬企業の生命線だ」と語っていたが、近年は様々な環境が整備されたことでドラッグラグが解消され、日本においても欧米と同時期に新薬が登場する環境が整ってきた。ただ、業界が「新薬開発のモチベーションを著しく損ねる」と批判した今回の制度改革によって、今後、これが後退していくことが懸念される。確かに、患者にとってみれば薬代は安いに越したことは無い。しかし、治療法が確立していない、生死にかかわる病気を抱えているなど、画期的新薬の登場を切望している患者は少なくない。果たして日本は新薬が登場しない国になってしまうのか。本年は特に注視していかなければならない。
(2018年1月12日掲載)
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