オピニオン

A LIFE

 TBS日曜劇場「A LIFE?愛しき人?」を観ている。元SMAPの木村拓哉さん主演とあって、何かと注目を集めているドラマだが、その第2話が興味深かった。
 期待の若手医師が心臓血管手術を行うのだが、その手術後、患者の右手が麻痺してしまう。患者は手術との因果関係を疑うが、若手医師は「心因性だ」と相手にしない。すると患者は「気のせいだというのか!」と怒り心頭に発し、患者の息子が提訴を持ち出すというストーリー。
 どこかで聞いたような流れ……そう「子宮頸がんワクチン問題」だ。ドラマのほうは、沖田医師(木村さん扮するアメリカ帰りの外科医)が麻痺の原因を突き止め、再手術を成功させたことで丸く収まる。
 子宮頸がんワクチンはというと、患者側は国と製薬企業の提訴に踏み切り、現在は全国各地で口頭弁論が開始。製薬企業は症状とワクチンに関連性はないとの主張を継続している。頼みの厚生労働省研究班はというと、症状とワクチンとの関連性を「判断しない」と言ったり、データ捏造疑惑が出たりと、泥沼化していると言っても過言ではない。昨年末には「非接種者にも同様の症状を訴える人が一定数いた」との報告をしているが、積極的勧奨中止の解除には至らないと思われる。沖田医師が指摘したように、麻痺が出たことを真摯に受け止め、治療する姿勢を見せていたら、今のような状況にはなっていない。ともかく、今となっては原因を明らかにしない限り、前には進まないだろう。



(2017年2月3日掲載)



前後のオピニオン

「ハーボニー」偽造品問題の余波
(2017年2月10日掲載)
◆A LIFE
(2017年2月3日掲載)
1月の話題
(2017年1月27日掲載)