オピニオン

「ハーボニー」偽造品問題の余波

 各関係方面に大きな波紋を投げかけたC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品問題。大手の調剤薬局チェーンが、医薬品流通の「正規ルート」ではない、いわゆる「現金問屋」から誤って偽造品を仕入れてしまい、患者の手元にまで行き届いてしまった「前代未聞」(厚生労働省)の事件だが、こうした薬局絡みの不祥事案について、特に薬局・薬剤師は不安の眼差しを浮かべている。
 2015年には16年度調剤報酬改定に向けた議論が本格化する前に、一部のチェーン薬局による薬剤服用歴の未記載問題が発覚。それに端を発して医薬分業バッシングが加熱し、日本医師会など他の医療関係団体も調剤報酬に険しい視線を投げかけた。改定議論は財務省が提示した改革案をベースに進み、結果として調剤報酬は実質的にゼロかマイナスに近かった。今もなお、調剤に対する厳しい指摘は続いている。
 こうした背景があるだけに、今回の不祥事案について薬局・薬剤師は神経を尖らせている。特に「外箱」も「添付文書」も無い医薬品の納入は、品質管理・保証という薬剤師の本来的な責務を問われかねない。18年度調剤報酬改定に向けて、経済財政諮問会議や日医はすでに、院内と院外の調剤料格差の是正を問題点に位置付ける。日医の鈴木邦彦常任理事は記者会見で「我々は薬局を信頼して処方せんを出している。信頼を担保できないのであれば、院内処方に戻さざるを得ない」と話した。



(2017年2月10日掲載)



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(2017年2月17日掲載)
◆「ハーボニー」偽造品問題の余波
(2017年2月10日掲載)
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(2017年2月3日掲載)