メディカル・エッセイスト 岸本由次郎  
 
医言放大
 
菜食主義の危うさ
 
   ソチ冬季オリンピックでは悲喜こもごものドラマが続出し、大いに楽しむことができたが、夏季オリンピックも含め不思議に思ったことが1つ。
 インドはあれだけ多くの人口を抱えていながら選手の話題が全くでてこない。人口12億人・世界第2位の大国でありながら、参加しているんだかどうか全く影が薄い。
 オリンピックだけではない、ほかにサッカーワールドカップなどの世界的スポーツの祭典でも全く存在感がないのは一体どうしてなのだろうか。
 原因としてはいろいろな要素が取りざたされているが、その中で最も有力な指摘とされていることに「菜食主義者が多いため」というのがある。肉類などたんぱく質の摂取が不足し、持久力に乏しい国民ばかりでスポーツを競うどころではない、というのだ。
 スポーツ不向きというだけでなく、「ベジタリアンは長生きしない」なんていうことも巷では真しやかに囁かれている。
 肉をほとんど口にしない、つまり動物性たんぱく質の摂取不足で極端に野菜偏重の方は、免疫力の低下が著しく、健康上好ましくないとも言われたりしている。
 さらに、野菜食の危うさを指摘するある開業医のコメントも大変気になる。
 「無農薬の自家菜園を趣味にしていた知人が、最近、大腸癌で50歳代の若さで亡くなった」という。さらには「有機農法を大規模に行っていた夫婦が膵臓癌で40歳代で相次いで死亡した」「農家の主婦が20歳代で胃癌で死亡した」などと続く。
 一見良さそうな有機農法ではあるが、有機肥料に問題があると化学者は指摘する。原料にし尿、産業廃棄物、下水の汚泥などが使用されていて、検査を受けなくとも法的には何ら問題にされていないというのが大問題なのだと警告する。
 さらなる問題として、肥料には窒素が含まれていて、結果、野菜に含まれる硝酸性窒素を過剰に摂取すると、胃液中のアミン類と結合して、ニトロソアミンという発癌物質を発生させるリスクがある。
 野菜作りには農薬の悪影響がよく議論されるが、肥料にも問題点のあることを忘れてはならない。
 菜食主義者の中には、単に動物愛護の面から肉を敬遠している人も大勢いる。健康面を考えてのことではない。

(2014年5月9日掲載)
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(2014年5月9日掲載)
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