オピニオン

知ってましたか「6・26国際麻薬乱用撲滅デー」

 「麻薬は理想的な製品だ……究極の商品。セールス・トーク不要。客は買うためなら下水道を這い回り土下座する……麻薬商人は、消費者に製品を売るのではない。製品に消費者を売りつけるのだ。麻薬商人は自分の製品を改善したり簡素化したりしない。顧客のほうを堕落させて簡素化するのだ」(ウィリアム・バロウズ著「裸のランチ」序文)
 CHAGE&ASKAのASKAが覚醒剤取締法違反などの疑いで逮捕された事件は記憶に新しいが、歌手やタレントばかりではなく、近年は一般市民の違法薬物使用が深刻な問題になっている。いわゆる「脱法ドラッグ」に関しては、新たな成分が発見されるたびに規制対象に加えて取締りを図ってきたものの、化学式の構造に少し手を加えた成分がすぐに出回るなどいたちごっこが続いていた。こうした問題に対処すべく厚労省は、類似成分を包括して規制対象とする制度を導入し、さらに、ネット販売解禁の陰に隠れてあまり大きな話題にはならなかったが、今年4月の改正薬事法の施行により、販売業者だけではなく、指定薬物を所持したり使用した場合にも処罰できるよう規制を強化した。
 しかし、インターネットの発達によってどこでも手軽に、そして罪悪感に苛まれることもなく、こうした違法薬物を入手できる環境にあることが、問題を複雑化させているようだ。そして現在、新たな課題として取り沙汰されているのは、OTC薬のネット販売が解禁となったのを契機に、偽造薬や違法薬物に対する防御まで緩んでしまうのではないかという懸念。コンピュータ・ウイルスの例を持ち出すまでもなく、ネットは好ましいものだけを普及させるように都合よくできてはいない。
 さて、6月26日は「国際麻薬乱用撲滅デー」だそうだが、一般的にはあまり知名度が高いとはいえない(書いている当人からして実は知らなかった)。そこでどうだろう、こんなときこそ薬剤師がもっと前面に出てPRにひと役買ってはいかがか。「違法薬物から市民を守る薬剤師」を印象付けることは、薬剤師職能をアピールする格好の機会だと思うのだが。



(2014年6月20日掲載)



前後のオピニオン

猫用のARBが登場
(2014年6月27日掲載)
◆知ってましたか「6・26国際麻薬乱用撲滅デー」
(2014年6月20日掲載)
言えなかった一言
(2014年6月13日掲載)