オピニオン

猫用のARBが登場

 猫の慢性腎臓病治療薬「セミントラ4mg/mL 経口液猫」が7月2日、ベーリンガーインゲルハイムベトメディカジャパンより発売となる。獣医領域における世界初のアンジオテンシンⅡ受容体阻害薬とのことで、いわゆるARBである。適応は、猫の慢性腎臓病(慢性腎不全)における尿たんぱくの漏出抑制。類薬には「フォルテコール錠」があり、こちらはACE阻害薬だ。
 ARBやACE阻害薬という名前からわかるように、これらの薬は人用としては高血圧の薬として使用されている。今回発売となる「セミントラ」の有効成分はテルミサルタンで、人用の薬としては、高血圧症を効能・効果として承認された「ミカルディス錠」となる。猫の慢性腎臓病に対する作用機序としては、腎臓にかかる血圧を下げることにより腎臓を保護し、それにより尿たんぱくの漏出を抑制する。
 猫の慢性腎臓病の罹患率は、12歳以上の猫で30%程度だという。さらに高齢になると、かなりの確率で腎臓に疾患を抱えており、動物病院で診察されることも珍しくないそうだ。同薬は経口液剤という特徴から、90%以上の猫で受け入られるとのことだ。
 動物の治療薬は、人用の薬を代用することが多い。しかし最近は、犬用の抗がん剤(しかも分子標的薬)が承認されるなど、動物専用の薬も大きな進化を見せている。人用の薬の開発を進めることで、さらに動物(ペット)にも恩恵を及ぼしてほしい。



(2014年6月27日掲載)



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(2014年7月11日掲載)
◆猫用のARBが登場
(2014年6月27日掲載)
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(2014年6月20日掲載)