オピニオン  
 
停滞するスイッチ促進
 
   セルフメディケーションの普及に向けた新薬効のスイッチOTC化が進まない。厚生労働省は「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を11月15日に開き、片頭痛治療薬「イミグラン」など8成分のスイッチOTC化の妥当性について審議したが、了承されたのは洗眼殺菌剤「PA・ヨード点眼・洗眼液」のみ。スイッチ化自体に難色を示す医師の理解は得られなかった。
 今回の審議で特に注目を集めていたのが、片頭痛治療薬のトリプタン系頭痛薬の5成分だ。日本神経学会や医師委員が「医師の診断が必要な薬剤」と主張するなか、厚労省の森和彦審議官や日本薬剤師会の乾英夫副会長は、医師の診断を前提とした「再発」に限定した方法で、スイッチ化の了承に向けて説得を続けたものの、医師委員は首を縦に振ることは無かった。
 乾副会長は同日の会合で「要指導医薬品に永続的に留まる制度を構築して頂きたい」と繰り返し主張した。薬剤師がOTC薬の供給にしっかりと関与する英国とは異なり、日本では、薬剤師だけが扱える要指導薬にスイッチされた後、原則3年間が経過すれば、インターネット販売が可能な第1類医薬品に移行する。日本医師会の鈴木邦彦常務理事も、この点を特に強調し、トリプタン系頭痛薬のスイッチ化には強く反対の意向を示している。乾氏の発言には、こうした医師側からの不安を払拭し、スイッチ化を進める狙いがあった。
 ただ、日薬の主張に懐疑的な見方を示す関係者も少なくない。それは、薬局・薬剤師の「OTC薬離れ」が改善されていないためだ。厚労省やOTC薬業界の関係者の中からは、「仮に要指導薬に永続的に留まる制度を整備したとしても、薬剤師のいる薬局でOTC薬を扱っていない以上、絵に描いた餅で終わる」との皮肉の声も聞かれる。

(2017年11月24日掲載)
前後のオピニオン
スイッチ化スキームを巡る個人的誤解
(2017年12月1日掲載)
◆停滞するスイッチ促進
(2017年11月24日掲載)
名前がよくない
(2017年11月17日掲載)