オピニオン  
 
名前がよくない
 
   日本遺伝学会は偏見対策として優性遺伝を顕性遺伝に、劣性遺伝を潜性遺伝に名称変更した。今さらという気もするが、医療界にはまだまだ「名前がよくない」例が少なくない。ここ一カ月に聞いた例を挙げてみよう。
 まず「乾癬」。道端アンジェリカさんも登壇した乾癬デーイベントでも「感染する」との誤解があり患者は困っているとの話があった。温泉や美容院などで断られるケースもあるという。
 今村聡・日本医師会副会長は卸連セミナーで「診療報酬の名前がよくない」と話す。「医師の収入になる」などと報道されることに対し、医師の収入になるのは診療報酬の一部だと苦言を呈した。
 宮川内科小児科医院の宮川先生は、日本高血圧学会のセミナーで「利尿薬という名前がいけない」と指摘。「オシッコガたくさんでる」イメージがあるが、ARB「ブロプレス」から利尿薬の配合剤「エカード配合錠HD」に変更しても「睡眠時排尿回数は変わらない」との研究を紹介、名称は「減塩薬」などがよいと述べている。
 日本サポーティブケア学会の田村和夫・理事長は、「緩和ケア」は終末期のイメージがつきまとうと指摘する。海外では「緩和ケア医療科」から「支持医療科」に診療科名を変更したところ、「支持医療科」への紹介が増えたとの例を挙げ、日本でも「支持医療科」を普及させたいとの考えを示した。
 一度つくとなかなか変えられない「名称」だが、名前を変えるだけでも患者ケアや医療の適正化に役立つのではなかろうか。

(2017年11月17日掲載)
前後のオピニオン
停滞するスイッチ促進
(2017年11月24日掲載)
◆名前がよくない
(2017年11月17日掲載)
広がりつつある“減酒”
(2017年11月10日掲載)