オピニオン

スイッチ化スキームを巡る個人的誤解

 11月中ごろに厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」が開かれ、候補成分のスイッチ化の可否に関する第2回目の審議が行われた。今回は8成分が議題となり、片頭痛5成分を含む7成分が否決。強力なステロイド剤や薬剤耐性が懸念される抗菌薬などは「まぁ、仕方がなかったかな」という思いもあるが、片頭痛薬はもう少し議論の余地があったのではないかと今でも考える。
 前回の緊急避妊薬に引き続き、今回の片頭痛薬の議論を見て、1つの勘違いに気が付いた。スイッチ化の可否を議論する検討会のスキームは、医療者側から「この成分ならスイッチを認めてもいいだろう」というお許しを頂くためのものであり、そこに「OTC薬の領域拡大に向けてみんなで知恵を出そう」という発想はない。一般消費者も含めて、広く要望を受け付ける仕組みは素晴らしいと思うが、結局、基本的にスイッチ化が認められるのは既存のOTC薬がある領域ばかり。今後もこの傾向が続くのであれば、期待外れという見方が広まりスキームが見限られてしまうかもしれない。
 何のためにセルフメディケーションを推進するのか、その中でスイッチOTC薬がどのような役割を果たすのか。根本的な部分から考えなければ恐らくいつまでも本当の意味でのスイッチ化の促進は足踏みが続くだろう。あるいは薬剤師による対面販売を重視して、「要指導医薬品に留まる制度の構築」が必要になるならば、そろそろ本腰を入れた議論に取り掛かってもいいのではないか。



(2017年12月1日掲載)



前後のオピニオン

子が歓迎される社会に
(2017年12月8日掲載)
◆スイッチ化スキームを巡る個人的誤解
(2017年12月1日掲載)
停滞するスイッチ促進
(2017年11月24日掲載)