オピニオン

子が歓迎される社会に

 上野動物園の赤ちゃんパンダが公開される。当面の間、観覧できるのは抽選で1日400組限定とするそうだ。倍率はどれくらいになるのだろうか。
 ところで先日、熊本市議会で女性議員が生後7か月の長男を議場に連れて行ったことが話題となった。報道によるとこの行動に対し事務局側は、「傍聴人は会議中いかなる理由があっても議場に入ることはできない」という規則を示した。議員は「事務局が乳児を傍聴人とみなしただけ。事前に規則を読み、できないルールはないと調べていた」とインタビューで答えている。妊娠を報告した時に議会内への託児所の設置などを要望したものの、個人でベビーシッターを雇うようにといった回答しか得られなかったためこのような行動に至ったそうだ。
 勇気ある行動にエールを送りたい。と同時に、「傍聴人」とされたこの長男は議場でどんな雰囲気を感じ取ったのだろうか、とも思う。
 近頃では、赤ちゃんが公共の場で泣いても迷惑でないことを意思表示するステッカーなどを配布する取り組みが行われているとも聞いた。乳幼児を連れている親たちに安心感を与えられるだろうと思う一方で、赤ちゃんが泣くというごく当たり前のこともステッカーで同意を示さなければならない世の中になってしまったのか、という気持ちも沸いてくる。 全ての子が世の中から歓迎されていると実感できる社会であるよう願う。



(2017年12月8日掲載)



前後のオピニオン

ケロリン
(2017年12月15日掲載)
◆子が歓迎される社会に
(2017年12月8日掲載)
スイッチ化スキームを巡る個人的誤解
(2017年12月1日掲載)