オピニオン  
 
小田原のういろう
 
   取材で小田原に行った。小田原といえば、戦国大名の北条氏で有名な小田原城の城下町であり、五街道の1つ東海道の宿場町。当時は、江戸から京都へ向かう際の、天下の険の箱根を越えるための拠点として賑わいをみせた。童謡「お猿のかごや」でも唄われているように提灯が有名だが、鯵やかまぼこ、珍しいところでは“おしつけ”などの美味な名物もある街だ。
 さてこの小田原、実はういろうも名物だ。ういろうと言えば、主に米粉を主原料とした和菓子をイメージするが、菓子のういろうと同様に“薬のういろう”も有名なのだ。歌舞伎の「外郎売」や十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも縁がある“薬のういろう”は、ごくごく簡単に言えば万能かつ漢方系の大衆薬。現在でも6百数十年前の製法を今でも守っており、多くのファンがいるそうだ。通販などには対応しておらず、店舗で直接、薬剤師のカウンセリングを受け、症状に適していれば購入が可能という。お菓子のういろうは、元々この“薬のういろう”の口直しとして考案されたという話もある。
 普段、取材ではゲノム創薬やバイオ医薬品など、最先端の薬の話題をメインに取り扱っているが、この“薬のういろう”のような伝統薬が現役で残っている状況はとても面白い。いつかは取材をしてみたいと思う一方、これから生まれる新薬で“薬のういろう”のように数百年と生き残る薬が出てくれば良いな、ということも感じた。

(2017年9月15日掲載)
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(2017年9月22日掲載)
◆小田原のういろう
(2017年9月15日掲載)
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