オピニオン

コロナ5類移行から1年

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを、季節性インフルエンザと同じ5類に移行してから1年が過ぎた。行動制限は行われなくなり、マスクの着用は個人の判断となった。社会活動はほぼコロナ禍前に戻ったのではないか。5類移行後も続いた治療薬の補助やワクチンの無料接種なども、今年3月で廃止した。
 しかし、新たな感染症がいつ到来してもおかしくない。政府はコロナ禍の教訓を踏まえ、今後起こりうるパンデミックに備えるために、アメリカ疾病対策センター(CDC)をモデルとした「国立健康危機管理研究機構」を来年4月に設立する。国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、研究や患者の治療、それに政府への科学的な知見の提供などを行う。機構では、▽情報収集・分析・リスク評価機能▽研究開発機能▽臨床機能――の全てで、世界トップレベルを目指し、感染症総合サイエンスセンターの構築を目標とする。
 コロナ禍では感染状況の把握や、医療体制の整備が後手に回った。またワクチンについても国内での研究開発が遅れ、欧米の製薬企業が開発したワクチンに頼る形になった。有事の際にはしっかりと初動対応を行い、ワクチンや治療薬の早期開発につなげなくてはならない。コロナ禍から得た教訓を生かして、平時からパンデミックに備える体制づくりが重要となる。



(2024年5月24日掲載)



前後のオピニオン

節目を迎えた日本保険薬局協会
(2024年5月31日掲載)
◆コロナ5類移行から1年
(2024年5月24日掲載)
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(2024年5月17日掲載)