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日薬が「行動規範」を公表

 日本薬剤師会はこのほど、「薬剤師行動規範」を公表した。従来の「薬剤師倫理規定」を見直したもので、前文のほか「最善努力義務」や「法令遵守」「品位・信用の維持・向上」「守秘義務」など15項目で構成。各項目には解説文を付した。全ての内容が医療人にとって当然かもしれないが、偽造品流通やいわゆる「付け替え請求」など、不祥事が相次いだ2017年を振り返ると、全ての薬剤師が熟読すべきものだ。
 「倫理規定」の見直しに当たり、「行動規範」には「患者の自己決定権の尊重」や「差別の排除」などが新項目として加わった。このうち「自己決定権の尊重」では、「(患者との)情報の非対称性に留意し、理解度や以降に応じた説明や判断、意思表示しやすいようにするなどの配慮が必要」と解説。「差別の排除」にでは人種や性別、職業、地位、思想・信条などの違いを念頭に「個人の違いについて十分に理解し、医療、医学、薬学などに関する知識・技術に基づいて公正に対応しなければならない」などとしており、いずれも従来から求められている「対人業務」がキーワードになるだろう。
 一方で「医療資源の公正な配分」では、いわゆる「高額薬剤」の登場などを背景に、薬剤費の適正化の課題に対して「状況を十分に理解し、果たすべき役割を認識しなければならない」と指摘。ニーズに適合する最適な医療の効率的・効果的かつ適正な提供に尽力する意気込みを示している。
 最近は薬剤師に厳しい目が向けられることも少なくないが、新たな「行動規範」を踏まえ、社会や国民から信頼される医療人を目指して頂きたい。



(2018年2月2日掲載)



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