オピニオン  
 
認知症
 
   「米国の大手製薬会社が『認知症薬』の研究開発から相次ぎ撤退している」との報道を見た。なんとも寂しい話である。高齢化の進む日本にとって、認知症は大きな課題だ。「認知症薬」の開発以外にも、様々なアプローチが必要だろう。例えば、こんな取組み――。
 日本医師会はこのほど、認知症を対象にした「超高齢社会における かかりつけ医のための適正処方の手引き」を発行した。薬物による有害事象の防止を目指し、減薬に向けた適正処方の考え方を提示。高齢者には有害事象が発生しやすいことを踏まえ、「高齢の患者に認知機能障害を生じやすい薬物」の一覧表などを掲載した。
 「手引き」について日医では、昨年9月に総集編として「1.安全な薬物療法」を発行。今回発行した「2.認知症」は、個別疾患を対象にした初の「手引き」となる。
 「2.認知症」では、総論として「認知症の治療は原因疾患の適切な鑑別診断のもとに行われることが重要であり、専門医療機関等と連携し、認知症の治療方針を決定することが望ましい」「標的症状には中核症状と呼ばれる認知機能障害と、妄想、易怒性などの行動・心理症状(BPSD)があり、これらに対し非薬物療法(回想法、音楽療法、運動療法など)を中心に、必要に応じて薬物療法を組み合わせて治療する」などと指摘した。
 また、適正処方に向け「認知症の薬物療法フローチャート」「病期別の治療薬剤選択のアルゴリズム」「アルツハイマー型認知症治療薬の特徴」「BPSD治療アルゴリズム」「BPSDの治療方針に関するフローチャート」「高齢者の認知症者への薬剤使用の注意点」「認知症の薬物治療のアドヒアランス」などを記載した。
 ――こういった取組みに今後も期待したい。

(2018年6月1日掲載)
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(2018年6月8日掲載)
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(2018年6月1日掲載)
女性と土俵問題から考える
(2018年5月18日掲載)