オピニオン

BS生産の担い手は

 バイオシミラーフォーラムで、厚生労働省経済課の飯村康夫・ベンチャー等支援戦略室長は「GEメーカーはBSをやらないと今後生き残れない」とコメントした。しかし、GEメーカーにバイオシミラーの開発・製造を担わせるのは無理難題だろう。沢井製薬の澤井社長は、自社でBSを開発・製造することは「考えていない」と述べているし、東和薬品の吉田社長も、自社で培養工場を持つことは「考えていない」と述べている。現状では、韓国などで開発・製造したBSを国内企業が販売するといったケースが増えていくだけで、どこがBS生産の担い手になるかが重要な課題だ。
 もちろん、国内生産の動きがないわけではない。テルモは生産設備を増設し「アダリムマブBS」を受託製造する予定と発表している。厚生労働省では、BS含むバイオ医薬品の製造技術や開発手法の人材を育成する事業を始めるが、BS工場の設備投資にも十分に支援していくことが必要だろう。
 個人的には、日本の現状においてはサンドのモデルが現実的だと考えている。サンドの販売するBSは、親会社であるノバルティスの抗体薬工場で生産しているとのこと。土地や人材などの資源に乏しい日本では、PBのように抗体薬工場の製造ラインの空きを利用してBSが生産できれば効率的だ。あとは、各社が資金を出し合って設立した「特殊ペプチドCMO」のペプチスターのモデルもいい。ペプチスターは17社が出資しているが、BSのCMO設立の旗振り役を国が担えば、もっと出資が集まるかもしれない。



(2018年8月3日掲載)



前後のオピニオン

先送りされる大型成分のスイッチ化
(2018年8月17日掲載)
◆BS生産の担い手は
(2018年8月3日掲載)
ボランティアという力
(2018年7月27日掲載)