オピニオン

処方せん集中率と調剤報酬

 厚生労働省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官が7月29日、横浜市内で開催された「第10回日本在宅薬学会学術大会」で、「これからの医療政策における薬局、薬剤師」と題した講演を行った。医薬分業を取り巻く現状と課題、地域包括ケアシステムにおける薬剤師の役割、2018年度調剤報酬改定に向けた方向性など内容は多岐にわたり、講演自体は約1時間に及んだ。
 このうち医薬分業を巡る現状について中山薬剤管理官は、特定の医療機関からの処方せんを集中的に受ける、いわゆる「門前薬局」が圧倒的に多い実態を踏まえ、「分業の理念を考えると、厚労省からみれば好ましくない状況だ。どのように調剤報酬上で手を打っていくのか。考えないといけない」と指摘した。
 さらに、面分業が定着している地域として有名な上田薬剤師会の事例を紹介しながら、「処方せんの集中率でみると、上田市の平均は33%、全国平均では75%。将来的には薬局・薬剤師全体が、このような方向に進むように、調剤報酬で施策を講じていく」とも語った。
 医薬分業の基本理念は、患者の服薬情報の一元的・継続的管理にあり、それを踏まえれば高い処方せん集中率は、決して評価される傾向にはない。都会の薬局であれ、地方の薬局であれ、全ての薬局には、処方せんの集中率を下げる努力が求められてくる。



(2017年8月4日掲載)



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