オピニオン

旦那のパンツに

 先日、昔の職場仲間と集まって、お酒を飲みながら昔話に花を咲かせた。そのとき、一人の女性が「旦那のパンツにう〇こ(便)が付いていた」とかなり憤っていた。便が付いた旦那の下着と、自分の衣類を一緒に洗濯しそうになったことに腹を立てていたようである。そのときは笑い話で終わったが、今思い返すと、もしかしたら旦那さんは重度の便秘なのかもしれない。
 「子供の慢性便秘症」に関する済生会横浜市東部病院の十河剛先生の講演を聞き、はたと思い至った。便秘では、便が肛門をふさいでしまう「便塞栓」という状態に至ることがある。こうなると、肛門が開いた状態となってしまい「便失禁」や「便漏れ」を起こすことがあるという。通常は、直腸に便が到達するとセンサーが感知して脳に伝達するのだが、常に便が直腸にある状態だとセンサーが働かず、当人も気づかないうちに「便漏れ」してしまうことがあるのだそうだ。もしかしたら、その旦那さんは「便塞栓」なのかもしれない。
 十河先生によると「便秘」の薬はあるが「便塞栓」の薬はなく、「浣腸」が最も効果の期待できる治療とのこと。また、子どもの慢性便秘症は治るが、大人になると「なかなか薬が辞められない」そうである。「旦那さんは重度の便秘かもしれないよ」とひとこと言えていたら、女性の腹立ちも収まり、逆に旦那さんを気遣う気持ちに変わっていたかもしれない。いずれにしても、旦那さんは、洗濯かごに入れるときに確認して、汚れが付着していたら水で洗うなどはしたほうがいいだろう。



(2019年4月5日掲載)



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