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「対物」から「対人」業務への転換を

 厚生労働省は調剤業務のあり方に関する通知を4月2日付で発出し、薬剤師以外でも実施可能な範囲を初めて明確にした。PTPシートで包装された薬剤のピッキングや一包化の数量確認について、薬剤師の指示を前提としながらも、薬剤師以外でも対応できるとした。通知に対する評価は別れるが、非薬剤師の業務を明確にしたという事実は大きく、「画期的」との見方は大勢を占める。
 通知を発出した厚労省医薬・生活衛生局総務課では、薬剤師による「対人業務」の推進に伴う「対物業務」の効率化に向けた一環と説明。「薬剤師が行う調剤行為の一環として、作業自体は他の従業者が行うという趣旨だ。薬剤師の調剤行為では無くなったという解釈ではない」とも付け加える。
 複数の厚労省幹部は「医薬品医療機器等法(薬機法)改正のタイミングでなければ、今回の通知は発出できなかっただろう」とみる。実際に今回の通知に対して、「調剤行為の範囲縮小」と懸念を強める薬剤師は少なからず存在する。薬機法改正のタイミングを活用し、薬剤師側の抵抗を上手く切り抜けたとの見方も成り立つかもしれない。
 ただ、「対物」から「対人」業務へのシフトの促進は現在、薬局・薬剤師に課せられた使命ともなっている。2020年度調剤報酬改定に向けて経済財政諮問会議の民間議員らは、院内と院外の技術料格差を改めて問題視し、「薬局数は依然として増加を続けているが、大きな原因は院内・院外の調剤報酬の内外価格差」と指摘。調剤料などの技術料への「大胆な適正化」も求めている。薬剤師には「対人」業務の充実化を図り、その効果をエビデンスで示していく必要がある。



(2019年4月19日掲載)



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(2019年4月26日掲載)
◆「対物」から「対人」業務への転換を
(2019年4月19日掲載)
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(2019年4月5日掲載)