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原価計算方式

 4月10日の中央社会保険医療協議会・総会では、2024年度薬価改定・薬価制度改革の施行から初となる新薬の薬価収載議論が行われた。薬価制度改革に伴うルール変更によって多くの新薬で評価が充実したが、これらのうち原価計算方式で算定された新薬はいずれも、製造原価の開示度が50%未満だったため、加算係数はゼロとなり、実質的な薬価への上乗せは果たせなかった。
 24年度薬価制度改革では新薬のイノベーション評価策を充実させた。革新的新薬を日本に迅速に導入した場合の評価「迅速導入加算」を新設したほか、有用性系加算に関して新たな評価項目を加えて評価を拡充した。一定要件を満たした特許期間中の新薬の薬価を据え置く「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出加算)についても、「企業指標」を廃止して改定前薬価を維持するシンプルな制度に改めるとともに、品目要件で「迅速導入加算」や「小児加算」の対象品目を加えて対象を広げている。
 一方、原価計算方式を巡っては20年度薬価制度改革で、透明性向上の観点から製造原価に関する情報の開示度に応じて加算を調整する仕組みを導入。開示度を「80%以上」「50~80%」「50%未満」の3つに区分し、それぞれ加算係数として「1・0」「0・6」「0・2」と定め、さらに22年度薬価制度改革で「50%未満」の区分を「0・2」から「ゼロ」に厳格化した。24年度薬価制度改革では特段の見直しを行わず、26年度改定に向けて再び検討する方向で落ち着いた。
 昨年8月の中医協で厚労省が示した資料によると、22年度薬価改定以降から23年5月までに原価計算方式で薬価収載された18成分のうち、89%の16成分が開示度50%未満に留まっていた。そして24年度薬価改定から初となる薬価収載でも、原価計算方式での算定による新薬は全て開示度50%未満で加算を召し上げられた。製薬産業界側は24年度薬価制度改革の議論で「類似薬効比較方式の対象範囲を拡げることで、イノベーションの適切な評価や透明性・納得性の向上が期待でき、結果として適切な類似薬がない場合に例外的に用いられる原価計算方式がさらに限定的なものとなる」と主張していた。26年度薬価制度改革に向けては、薬価算定方式のあり方を巡る議論も焦点の1つとなりそうだ。



(2024年5月10日掲載)



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(2024年5月10日掲載)
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