オピニオン

利用率に関係なく廃止?

 参議院厚生労働委員会で、武見敬三厚生労働大臣が「マイナ保険証の利用率に関係なく、12月に現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化すると述べた」という記事がネットニュースなどで流れた。ニュースでは3月時点におけるマイナ保険証利用率は5・47%という数字も併せて紹介している。
 この記事には少しバイアスがかかっている。実際の大臣の言葉を要約すると「マイナ保険証の利用率にかかわらず、今年12月以降も医療機関への受診に支障が生じるとは考えていない。マイナ保険証の利用促進に積極的に取り組み、現行の健康保険証は今年12月2日から発行を終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行していく」となる。受診に支障が生じない理由としては「健康保険証を1年間使用できる猶予期間があり、マイナ保険証を保有しない人には、申請にかかわらず資格確認所を発行する」としている。ネットニュースをそのまま読めば「利用率なんて関係ない、12月に健康保険証は廃止じゃ」と言っているように見えるだろう。マイナ保険証利用率の5・47%にも注意。マイナンバーカードの保有率は73・5%、申請中を含めると80%で、健康保険との紐づけ率は78%なのだ。
 こう書くと、マイナ保険に賛成のように見えるが「切り取りに注意しよう」という話。個人的には従来の健康保険証を継続するべきだし、資格確認書を発行するなんて税金の無駄遣いだと思っている。



(2024年4月26日掲載)



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(2024年5月10日掲載)
◆利用率に関係なく廃止?
(2024年4月26日掲載)
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(2024年4月19日掲載)