オピニオン

特例承認を振り返って

 2020年5月7日、新型コロナウイルス感染症に対する初の治療薬であるギリアド・サイエンシズ「ベクルリー」の「特例承認」が正式承認された。特例承認とは、海外での承認などを条件に審査手続きを短縮する制度で、国内においては2009年、新型インフルエンザが猛威を振るった際、ワクチン2品目に適用となったのが最初となる。
 新型コロナウイルス感染症に対する特例承認を振り返ると、「ベクルリー」の承認後、今年に入って2月14日にはファイザー「コミナティ」が、また5月21日にアストラゼネカ「バキスゼブリア」およびモデルナ「スパイクバックス」が、7月19日に中外製薬「ロナプリーブ」(カシリビマブ〈遺伝子組換え〉/イムデビマブ〈遺伝子組換え〉)が、9月27日にグラクソ・スミスクライン「ゼビュディ」(ソトロビマブ〈遺伝子組換え〉)が、それぞれ特例承認された。さらに今後、12月24日の医薬品第二部会で審議に上るMSDの「ラゲブリオ」(モルヌピラビル)や、ファイザーが開発中の「リトナビル」が特例承認された場合、特例承認によって承認された医薬品やワクチンは8製品となる。
 新型コロナウイルスの感染が広がっていった当初、まさか2年もこのウイルスの恐怖に苛まれるとは想像していなかった。一方で、この2年でこれだけの医薬品やワクチンが開発・上市され、私たちを救ってきた。革新的な新薬は、感染症領域のみならず、すべての患者の希望の光になり得る。来年も多くの医薬品などが開発・上市され、多くの人の命やQOLを救うことを願うと同時に、そうした努力が適切に評価されることを願う。



(2021年12月24日掲載)



前後のオピニオン

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(2022年1月7日掲載)
◆特例承認を振り返って
(2021年12月24日掲載)
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(2021年12月17日掲載)