オピニオン

「アライ」の好調と責任

 大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」(オルリスタット)が好調だ。販売開始から3か月で同社の年間計画の7割を超える勢いを見せ、販売店舗数は約1万1000店舗に上る。また購入者の傾向では、87・1%が90カプセル入り(1か月分)を選択しており、2回目購入の継続率は46%と、関連商品と比較して継続状況が高いという。同社は「日本初の内臓脂肪減少薬への期待と本気で生活習慣を変えようと思って購入されている方が多いと推測している」とし、こうした反響を踏まえ「購入条件・薬の飲み合わせ・特有の事象・疑問点について、正しい情報をより分かりやすく発信する」との方針を示した。
 同剤はダイレクトOTCとして承認を得ている要指導医薬品で、将来の生活習慣病発症や重積化を生活者のセルフメディケーションで対応していく「予防医学的」な役割が期待されている。OTC薬としても画期的な位置付けとなり、薬剤師から対面の説明を受けるだけでなく、使用条件が厳しく定められ、生活習慣改善の取組み記録なども必要となってくる。実際にSNSを覗いてみると「腹囲が90cm以上でないので買えなかった」「生活習慣記録を付け始めた」といった声がみられ、こうした適正販売が遵守されていることが伺える。この中心にいるのが薬剤師だ。今後、さらに多くのスイッチOTCやダイレクトOTCが登場し、セルフケア・セルフメディケーションが加速することが予想され、薬剤師はセルフケア・セルフメディケーションの担い手として、地域医療の中心となることが期待される。新しいコンセプトを持つ「アライ」はその第一歩だ。好調の裏に関係者たちの大きな責任を背負っている。



(2024年7月12日掲載)



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