オピニオン

“都市圏産”登録販売者候補、ドームへ

 場所はドーム球場。『○』と『×』に別れた参加者群の間を、ロープを張るために担当官がすばやく走り抜ける。答はもう変更できない。固唾(かたず)を飲んで正解発表を待つ時間が過ぎる。やがて、オーロラビジョンに正解が映し出されると、悲喜両喚声と共に正解者は2問目へ、不正解者は出口へと誘導される――。「そんなウル○ラクイズ方式がいいんじゃない、登録販売者の試験は?」。 地方自治体の担当官が、楽しげに構想を語る。
 大衆薬の販売規制等を見直す改正薬事法が昨年6月14日に公布された。この中で登録販売者は、ミドル・ローリスク医薬品が販売可能な専門家として新たに定義され、その資質確認等の試験に係る施行は、公布日から2年以内となっている。そのため手続業務等を所管する地方自治体の担当官は、「国で6月には方向性を示してもらわないと実務上厳しい」と懸念する。が、懸念はスケジュール感だけではない。試験会場の確保が悩ましいのだ。
某自治体では、登録販売者受講者を「約2万人」と推計している。「実務経験等の要件で変わるが、経営者は従事者(7~8人と想定)の半分以上の4~5人に資格を受けさせると想定。その数に、所轄の一般販売業(薬店)数を掛けて試算」した。しかし、その「約2万人を収容できる会場」がない。数会場同時開催も可能だが、「費用対効果等を考えると、ドーム球場でのウ○トラクイズ方式が一番手っ取り早い」と語る。
 ただね――と担当官。「その場合、ウチでは1問目で不正解だと、即失格になるけど」とにんまり笑う。それでも良ければ“知力・体力・時の運”を試しにドームに集うというのもいい。もちろん、同案はファンタジーに近いが、頭の痛い会場問題に対する柔軟性は面白い。実際の対応が迫る点、同情の至りではあるが。



(2007年2月23日掲載)



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(2007年3月2日掲載)
◆“都市圏産”登録販売者候補、ドームへ
(2007年2月23日掲載)
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(2007年2月16日掲載)