オピニオン

世論の力 

 残された課題はあるものの、和解成立でひとつの区切りがついたC型肝炎訴訟。和解成立の調印式で、全国原告団代表の山口美智子さんは、ようやく全面解決への土台ができたと喜ぶ。ただその一方で、まだ救済されない患者を救うため、しっかりとした道を作って欲しいとも国に要望する。
 今回のC型肝炎問題。12月に政府が示した和解案では、血液製剤の投与時期によって、救済範囲を限定したものだった。そのため、原告側は受入れを拒否。「政治決断を」と、寒空の中街頭に立ち、行き交う人々に訴えかける原告団の姿は、多くのマスメディアで取り上げられ、結果的に、世論に後押しされる形で、福田総理は患者の救済に向けて議員立法での全面解決を指示する。いわば、世論の声というものがなければ、“和解成立”という結果に繋がらなかったともいえる。
 「国民の目線に立って」というフレーズを、最近よく耳にする。1月18日に行われた第169回国会の福田総理の施政方針演説。福田総理は、今年を「生活者や消費者が主役となる社会」に向けたスタートの年と位置づけ、「あらゆる制度を見直す」と発言。国民の立場に立ち、国民が何を求めているのかということを念頭に置き、各省庁縦割りになっている消費者行政を一元化するため「強い権限を持つ新組織を発足させる」と述べる。またそれと併せて、「消費者行政担当大臣」を常設するとも公言した。
 従来から患者団体を巻き込んだ取組みを行ってきた製薬業界。政治が世論の動きに敏感になる中、今年はその取組みが一層重要となってくる年になるかもしれない。



(2008年2月1日掲載)



前後のオピニオン

もちろん覚えてますよ、安倍さん
(2008年2月8日掲載)
◆世論の力 
(2008年2月1日掲載)
ICT?
(2008年1月25日掲載)