オピニオン

パセリ問題

 定食屋にてランチ時、隣の席の男女が店を出る際にふと見ると、男はサラダをほとんど残し、女性は半分ほどライスを残していた。このパターンは割とあるな~、と思ったのだが、ふと我が身を顧みると、必ずパセリを残していた自分を発見。貧乏性なもので、普段から「食べ物は粗末にしない」を信条としていたのだが、無意識のうちに本意ではない行動を取っていたのであった。気になって調べてみると、確固たる統計に基づいた数値ではないが、日本では9割近くがパセリを残すという習慣を行使するとのこと。外国のレストランで日本人の団体旅行客が皆パセリを残すので、日本では宗教的にパセリは食べないものと思われたとか。理由としては、パセリが飾り物と見なされているから、単にマズいから(個人的には嫌いではないが)、食堂で使い回されている可能性があるから(これは残されているがゆえの理由だが)など挙げられるが、本当のところはもっと底深いワケがあるのかも知れない。
 パセリ問題だけでなく、諸外国と比較し、日本ならではの特徴的な光景を羅列し疑問を呈してみると、①なぜ些細な小雨でもすぐ傘を差すのか、②なぜ何でもかんでも過剰に包装するのか、③外国では単なる走る道具として割とぞんざいに扱われる車が、なぜ日本では異常にきれいなのか(小さな傷にも神経質)、④なぜ温水洗浄便座が日本で発達したのか、⑤なぜ諸外国ほど後発医薬品が普及しないのか――等々リストアップできる。それら理由の一部として、歴史的な背景や制度の問題、物理的環境などが考えられるが、それらは広い目で見れば分水嶺の単なる点に過ぎず、実は太古から継承されてきた、人類学的見地に基づく「精神的」な理由が、龍脈の如く貫かれており、大いに影響しているに違いないと思うのだ。



(2013年7月26日掲載)



前後のオピニオン

Fire and Forget
(2013年8月2日掲載)
◆パセリ問題
(2013年7月26日掲載)
製薬産業「新・進化論」
(2013年7月19日掲載)