オピニオン

厚生労働省と「働き方改革」

 「生きながら人生の墓場に入った」「毎日いつ辞めようかと考えている」「体力や精神的にも継続することはできない」――。「働き方改革」が叫ばれるご時世ではあるが、このような悲痛な叫びで溢れている職場がある。何を隠そう、これらは「働き方改革」の実現に向けた旗振り役の厚生労働省の職員から出たものだ。今年4月に立ち上げられた「厚生労働省改革若手チーム」のアンケート調査に寄せられた声になるが、チームによる緊急提言からは中々どうして、ブラック企業顔負けの労働環境であることが公になり、国民の健康や労働を所管する官庁の皮肉ともいえる実態が示された。
 この緊急提言、是非多くの方々に読んでいただきたい内容になっている。現状の問題点として▽圧倒的な人員不足▽組織全体としてのマネジメント意識の低さ▽伝統的キャリア像の固定化▽人材育成意識の低さ▽縦割り型の職種別人事による組織ガバナンス機能の低さ▽劣悪なオフィス環境――を挙げており、現在の厚労省を理解するための一助となりそうだ。「劣悪なオフィス環境」など突っ込みどころはいくつかあるが、確かに同情すべき点もある。反面教師的な態度で「働き方改革」を進めているわけではないだろうから、自らを改革することができるかどうか。ある意味、そこがこの国の「働き方改革」の成否の鍵を握っていると言えそうだ。



(2019年9月6日掲載)



前後のオピニオン

漢方薬のブレイクスルー
(2019年9月13日掲載)
◆厚生労働省と「働き方改革」
(2019年9月6日掲載)
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(2019年8月30日掲載)