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容姿端麗な人気プロテニス選手・シャラポワが、ショットを打つ瞬間、美女に似つかぬ雄叫びをあげると、対戦相手は一瞬ひるむ。 また、ピンポンの愛ちゃんもそうだ。ポイントが決まった瞬間「サー」と大きな気迫溢れる声が会場を揺るがすと、相手に少なからず威圧感が与えられる。 アスリートの筋肉は、たとえどんなに鍛えこんでも、イザ試合になると、全体の7割程度しか使用されず、残りの3割はお休み状態にあるという。脳が体の安全を考え、自分の意志とは関係なく、自動的にリミッターをかけてしまうのだという。 そこで大きな声をだし、瞬間的にそのリミッターを解除、筋肉を少しでも増しより大きなパワーアップを図ろうとするわけ。気合溢るる叫び声は、自らのテンションを高める偽薬的効果狙いであり、またゲームの流れを呼びこむ重要な意味合いも併せもっている。 更に、ラグビーのような団体競技に於いても、ナインの興奮を高め、普段以上の実力を発揮できるよう、円陣を組んで大きな声を掛けあう。 こうして、スポーツ界では腹の底から声をだすことで、結果、潜在能力が大きく引き出されることが、実験ではっきり証明されており、実際に現場で大いに活用されているのだ。 音声つながりでいうと、オーディオの世界でも偽薬的効果を狙った音質向上策がいくつか知られている。 CDにカッターで切り込みを入れると音質が良くなる、というのがあるし、更には、CDの2度がけ音質向上策というのも。プレーヤーにCDを入れたら一度取り出し、再度CDを入れ直して再生すると音質が良くなるというのだ。眉唾物ともとられかねない内容だが、津田塾大の音楽学講師が、自らの著書に堂々と紹介していることだ。 ユニークな音質向上策をいくつか取りあげたが、あらためてその科学的根拠は?と問われても、残念ながら明解な答は期待できない。 つまり、そこに偽薬的効果という暗示が働いていることはまちがいないだろう。それで幸せな気分になれるとしたら、この際科学的な理屈など一切必要なかろう。 また、オーディオルームに観葉植物を置くと、音質が良くなるというのもある。これなども実際の聴覚以上にミラクルな偽薬的効果が働いているからであろう。 科学的にずいぶんと解明が進んでいる人体機能ではあるけれども、偽薬的効果のような有益な未解明部分はいくらあってもよい。
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