オピニオン
抗肥満薬、適正使用への期待
30年ぶりとなる抗肥満薬が相次いで承認され、まずは2月にノボ ノルディスク ファーマのGLP-1受容体作動薬「ウゴービ皮下注」(一般名:セマグルチド〈遺伝子組換え〉)が、そして4月には大正製薬の日本初の内臓脂肪・腹囲減少薬「アライ」(オルリスタット)がそれぞれ発売となる。「ウゴービ」は肥満症に対する医療用医薬品で、「肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする疾患」に対して適応される。また「アライ」は肥満から肥満症へ移行することをブロックする「予防薬」。いずれも最適使用推進ガイドラインや要指導医薬品の取り扱いにのっとった処方および販売が必要となる。
近年、ダイエット目的としたGLP-1受容体作動薬の不適切使用や、OTC医薬品の濫用が大きな社会問題となっている。ノボ ノルディスク ファーマは「私たちの意向をご理解いただける医療用医薬品卸売販売業者と協力関係を組み、最適使用推進ガイドラインの要件に沿って適正使用を推進していく」と強調した。また大正製薬は日本肥満学会が監修した薬剤師専用のe-ラーニング研修システムを立ち上げ、すでに2万6000人を超える薬剤師の研修が終了しているとし「地域の薬剤師、ドクター、そしてメーカーが三位一体となって地域包括ヘルスケアの活性化に取り組む」との意向を示した。30年ぶりの新薬が、肥満・あるいは肥満症患者の重要な選択肢のひとつになるとともに、適正使用に向けた変革をもたらすことを期待する。
(2024年3月15日掲載)
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◆抗肥満薬、適正使用への期待 (2024年3月15日掲載) |
◇後発医薬品調剤体制加算 (2024年3月8日掲載) |