オピニオン

23年出生数が過去最小の75万人

 厚生労働省はこのほど、2023年の出生数(速報値)が過去最少の75万8631人だったと発表した。前年より4万1097人、率にして5・1%の減少となる。16年に97万7242人とはじめて100万人を下回って以降、加速度的に出生数は減り続けている。厚労省の国立社会保障・人口問題研究所は将来推計人口で、76万人を割るのは35年と見込んでいたが、実際には12年早まった形だ。また死亡数は過去最多の159万503人で、出生数を引いた人口の自然減は83万1872人と最大の減少幅になった。
 筆者の世代の出生数が120万人前後だから、このころと比べると約50万人も減っている。物凄い数字で、驚くばかりである。少子化の理由は婚姻数の減少や若い世代の経済的不安など、様々な原因が考えられるが、はっきりいって今後出生数が反転する見込みは薄いのが実情ではないか。他の先進諸国も全世界的に出生率低下傾向であり、移民によって生産人口を維持しているだけと言えることは確かだ。
 今後日本では労働力不足やインフラの老朽化が加速し、経済成長が見込めなくなる社会が訪れる。そうした社会に対応するには、経済成長だけにとらわれてはいけないと感じる。パイをどう分配して老いた国を維持していくのか。まずは働く人の権利を守り、社会保障を充実させながら、経済成長至上主義から脱却することが必要になってくるのではないか。



(2024年3月22日掲載)



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