オピニオン

後手対応が深手に

 パロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器や家庭用シュレッダーなど、生活品をめぐる事故の多発を受け、経済産業省は生活用品全般を対象に、メーカーに対して政府への事故情報の報告を義務付けるよう法律を改正する案をまとめた。医薬品、自動車、化粧品など、既に報告義務や厳重な規制があるものを除き、原則全ての生活用製品を報告対象にする方針だという。経済産業省によると、国に報告された05年度の生活用品の事故情報は過去最高の2413件。特に、ガスコンロ、石油ストーブ、電気ストーブによる事故が多く報告されているという。
 こうした中、目に付くのは事故を起こしたときの企業の初期対応だ。先日、異常加熱や発火の恐れがあるとして、全世界におけるパソコン用リチウムイオン電池の全面回収・交換に踏み切ったソニー。いったんは“安全宣言”を出したものの、その後も発火などの事故が続き、問題発覚後1カ月以上たった上での自主回収となった。回収対象は700万個以上と、パソコン用電池のリコールとしては過去最大規模。対応の遅さがさらに傷を深めた観は否めない。
 一方の医薬品業界はというと、周知の通り、他業界と比べて安全性に関してはかなりシビアな世界。特に最近では承認後の安全対策に重きを置く傾向は強まっており、「攻めのPMS」という言葉も聞かれるほど。ただ、松下、パロマ、シンドラーといったように、事故を起こしたときの初期対応ほど企業の明暗を分けるものはない。それは製薬企業も同じと言える。



(2006年10月13日掲載)



前後のオピニオン

もしもヒルマン監督が病で倒れたら
(2006年10月20日掲載)
◆後手対応が深手に
(2006年10月13日掲載)
日医のジェネリック医薬品調査
(2006年9月29日掲載)