オピニオン

日医・中川新会長の手腕

 任期満了に伴う日本医師会の役員選挙が6月27日に行われ、会長選挙は副会長の中川俊男氏が初当選を果たした。「政治との距離感」が争点の1つとなった今回の会長選挙。中川氏は当選後に「どのような圧力にも決して負けず、堂々と物が言える新たな日医に変えていく」と主張したが、こうした姿勢は選挙戦だけでなく、厚生労働省の審議会など様々な場面で貫いてきた。
 診療報酬や医療提供体制をはじめ、薬価制度や薬事規制、調剤報酬、薬局・薬剤師政策といった幅広い分野で積極的に発言し、日医内では「政策通」と評価され、医療界全体でも「論客」として名を馳せてきた中川氏。その一方では、妥協せずに議論に臨む姿勢から「厚労省の官僚などから嫌われる立場で表舞台に立つ任務を担ってきた」(川崎市医師会・岡野敏明会長)と評され、横倉義武前会長との比較で調整能力を問われる向きもあった。
 会長選挙は有効投票数365標中、中川氏が191票を獲得して勝利を収めたが、横倉氏にも174票が入った。圧勝にはほど遠い形での当選だけに今後は会内融和といった課題も残る。喫緊の問題である新型コロナウイルス感染症への対応に向けては、政府や与党との交渉能力も必要になってくる。温厚な人柄で交渉術にも長けると評価され、診療報酬本体のプラス改定を勝ち取り続けてきた横倉前会長の「調整能力」を、中川氏が承継するかどうかに注目が集まっている。



(2020年7月17日掲載)



前後のオピニオン

緊張のゆくえ
(2020年7月24日掲載)
◆日医・中川新会長の手腕
(2020年7月17日掲載)
ICTインフラの遅れ
(2020年7月10日掲載)