オピニオン

なんだ、これは!

 岡本太郎氏の有名な功績に、「縄文土器の大発見」がある。博物館に行った際に岡本氏が「大発見だ」と興奮しているので、何かと思って見てみると、そこにあったのは縄文土器だった。もちろん、岡本氏が縄文土器そのものを発掘したわけではない。そこに込められた芸術性に着目した岡本氏は「なんだ、これは!」と感銘を受けていた、という話だ。それまでただの道具としかとらえられていなかったものを、芸術的な視点でとらえたことが新しかったということで、岡本氏に影響を受けた人がたくさんいることも考えると、まさに大発見だろう。
 私事だが、この仕事を始めて半年が経過した。異業種・異職種からの転職なので、聞くことすべてが「大発見」で、毎日のように「なんだ、これは!」と衝撃を受けている。ただの無知と言われてしまえばそれまでだが、薬の裏側に、こんなに複雑な制度が絡んでいたとは考えたこともなかった。厚労省のサイトを読んでも、日本語とは思えないほど難しいし、基本的な質問をしたつもりでもわからないことが次々と出てきて、眠れなくなりそうだ。
 でも、発見は誰かの役に立ってこそ価値が出ると思う。セミナーや会見で聞く話はどれもそれぞれ興味深く、全ての話を原稿に盛り込みたくなってしまって、なかなか書けなくなってしまうのが悩みだが、とにかく自己満足で終わらないように、これらの「大発見」がいい企画を生み出し、少しでも製薬業界と治療を待つ患者さんたちの役に立てるようがんばります。



(2014年4月18日掲載)



前後のオピニオン

60%ショック
(2014年4月25日掲載)
◆なんだ、これは!
(2014年4月18日掲載)
疑惑を見る目
(2014年4月4日掲載)