オピニオン

選定療養費のことは大した問題ではない

 昨年のことだが、蜂窩織炎という感染症にかかり6日間入院した。最初に近所のかかりつけの診療所を受診し、紹介状をもらって翌日に地域の基幹病院を受診したところ即日入院となった。この時に思ったことは、直接基幹病院に行けばよかったということだ。すぐに基幹病院に行っていれば、それだけ早く重点的な治療を開始できたし、治療期間も少なくとも1日分は短縮されたはずである。
 そんな思いを抱いていたので、先日、私の子どもが「足が痛い」とうったえてきたとき、迷うことなく基幹病院に連れて行った。紹介状はないので「選定療養費」として2750円を請求された。もちろん、選定療養費のことはわかって行ったのだが、その日のうちに小児科と整形外科を受診できたし、レントゲンを撮ってもらって骨に異常がないことがわかった。血液検査やエコー検査を受けることも可能だった。もし、先に近所のかかりつけの小児科診療所に行っていたら、基幹病院に連れていくのは翌日にずれ込んでいたかもしれない。そう思えば、選定療養費のことは大した問題ではない。
 3月時点では、選定療養費は初診時で5000円以上、再診時で2500円以上となっている。4月の診療報酬改定では対象病院の拡大と、負担増が行われる見通しだ。まずはかかりつけ医に診てもらい、必要があれば大学病院などの大病院に紹介してもらう。その意図はわかるが、負担増により「患者の受診行動を変える」といった考え方はあまり通用しないのではないかと思われる。



(2020年3月13日掲載)



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(2020年3月20日掲載)
◆選定療養費のことは大した問題ではない
(2020年3月13日掲載)
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(2020年3月6日掲載)