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たばこを喫うポーズはどのポスターもみな魅力的だ。それは映画の中でも同様で、喫煙を美しく見せている。 だが、それもどうやら変化の兆しが現れた。最も顕著にそれを演出しているのが「007」。昔あれほど格好良く喫っていたたばこを今は絶対に喫わない。それどころか、人に「たばこは体に悪いよ」なんていったりしている。 アメリカ胸部医学会の調査では、現代映画の時代になって、下層階級や悪役の方が、裕福な人物やヒーローよりも喫煙率が高いことをつきとめた。その上、その喫煙率が国民一般よりさほど高くはないことも明らかにした。映画に於ける喫煙率は23%で、アメリカ一般市民は22%とほぼ一緒である。 また、主人公(喫煙率21%)よりも敵対者(36%)の方が高く、下層階級(48%)が中流階級(23%)や上流階級(11%)よりはるかに高率であることも明らかにした。魅力のない不成功者の方が、成功者より喫煙するイメージを強く表現している。 喫煙に対するアメリカ社会の風当たりは極めて厳しく、そうした無言の圧力が映画作りの姿勢に自然と反映したものと思われる。映画スターの一挙手一投足は、青少年に多大の影響を与える。映画製作者は、登場人物の何げない演技にも責任ある指導性が求められる。日本の映画関係者は、この調査報告を是非前向きに受けとめ、今後の映画作りに生かして欲しいものである。 先進諸外国の喫煙率は、明らかに低下傾向を示しているが、残念ながら我が国はほとんど高止まりの状態にある。 責任の一端を感じた日本医師会は、平成11年WHOとの会合を契機に、積極的な禁煙活動を開始。まずは身内からということで、平成12年男性医師喫煙率27%を、4年後22%にまで低下させている。ちなみに女性医師についても6.8%から5.4%に低下した。 日本医師会は関連の37団体を巻きこんで、「国民医療推進協議会」を発足させ、最近、その推進方針を公開した。その中では、WHOの指導もあって、たばこ価格の大幅な引き上げを強く主張している。 価格を2倍にすれば喫煙率は2~3割減り、税収が2倍になる、と学説をたてている。収入増を国民健康のために使用するとなれば一石三鳥の効果につながるとも云う。 その他、たばこ関連9学会は合同で禁煙ガイドラインを発表するとしており、日本の高喫煙率国家という国際的汚名も、いずれ解消されることになるであろう。
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