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「食欲の秋」そして「味覚の秋」到来。猛暑続きでゲンナリしていた胃袋が、涼風の訪れと共に活力を取り戻し、なんでもかんでもモリモリバリバリ、手当り次第にパクつきたくなる。 だが、ご注意あれ。最近の世界の医学情報は“肥満に対する警告的研究報告”が満載。さも「グルメもほどほどにしなはれ」と言われているよう。 肥満が、各種疾患の発症を誘引していることは既成の事実だが、最近の医学報告で目立つのは、肥満となるそのこと自体が死亡率を比例的に上昇させているという直截的突き付け。これまでにない大規模調査を基にはっきり言い切られては気にしないわけにはいかない。 まず、世界的代表誌「ランセット」では、体格指標(BMI)と死亡率との関連を、大集団・長期間研究(欧米地90万人対象・平均追跡期間8年)によって解析している。 結論は、BMIが上昇するほど死亡率が上昇した、とあり、BMIが30~35では生存期間が2~4年減少、40~45では8~10年減少と具体的にまとめられている。 死亡率に最も強く影響している疾患は、心疾患や脳梗塞等の血管疾患だが、それは肥満により動脈硬化が誘導されるから、と指摘されている。 死亡率に直結している、もう一方の大疾患に悪性腫瘍があるが、これも肥満が原因で増殖系経路が活性化される結果、腫瘍が発生しやすくなるため、とみられている。 ヨーロッパ諸国では、これまで喫煙ががんの成因として最も高く関連づけられていたが、禁煙が進んだ今日、かわって肥満がトップ成因として、不名誉な名乗りをあげている。 また、別の著名誌「ニューイングランドジャーナルオブメディスン」には、「全身肥満」の度合をみるBMIに併せ、「腹部肥満」にも注目、これら2要素が死亡リスクと正相関していると明言している。 この研究も、ヨーロッパ9か国の36万人が対象となり、追跡期間も10年と大規模調査として申し分ない結果と評価できる。 BMIに加え、ウエスト周囲径、又はウェスト・ヒップ比が死亡リスクと強い関連があると認めており、内臓脂肪蓄積に注目したメタボが死亡リスクのはっきりした指標であることを明確に物語っている。
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