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熱中症対策が義務づけ
6月1日から「改正労働安全衛生規則」が施行され、事業者には熱中症対策が義務づけられることになった。対象となるのは、気温や湿度などをもとに熱中症の危険度を示す「暑さ指数」が28以上か、気温が31度以上の環境で、連続1時間以上、または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業となる。対策を怠った場合は50月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科される可能性がある。
厚生労働省によると、2024年に全国の職場で熱中症により死亡した人は31人で、4日以上休んだ人をあわせると過去最多の1257人だという。30人以上が亡くなるのは3年連続となっている。特に建設業、製造業、運送業での発生が半数を超える状況だ。熱中症による死亡の主な原因としては、初期症状の放置や対応の遅れだ。そのため、熱中症の恐れのある労働者を早期に発見して職場で報告する体制を整えるほか、応急措置を施したり医療機関を受診させたりする手順を定めることを義務付けた。
近年の暑さはまさに「災害級」で、熱中症にかかるリスクは大幅に高まっている。さらに気候変動の影響により、更なる増加が懸念される。今回の改正により、熱中症の疑いが生じた人への対応やどうすれば熱中症を未然に防止できるのか、企業の意識が高まることが期待される。
(2025年6月20日掲載)
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