オピニオン
HPVワクチンのキャッチアップ接種
3年間の期限付きで実施されているHPVワクチンのキャッチアップ接種が2025年3月31日で終了を迎える。子宮頸がんの予防を目的とするHPVワクチンをめぐっては、2013年に定期接種化されたことにより公費で受けることが可能になったが、その後、ワクチン接種後の様々な症状が社会問題化したことにより積極的勧奨差し控えられ、エビデンスの集積や各種研究、審議会等での検討を経て、2022年4月から積極的勧奨の再開及び接種の機会を逃した人に対するキャッチアップ接種が開始された。子宮頸がんは、年間約1万人が罹患し、約3000人が死亡しており、患者数・死亡者数とも増加傾向にあるという。ワクチンである程度予防できるということなので、接種対象で未接種の人はよく検討してほしい。
11月に開かれた厚生労働省の検討会では、HPVワクチンの接種状況が報告された。報告では、2021年度以降の全体の接種者数は、2013年度のワクチン導入時点の接種者数を超え、増加傾向にあるとされたが、委員から「接種率が日本全体で低い」との声が続出し、接種率を上げていく必要性が強く指摘された。積極的勧奨の再開及びキャッチアップ接種の開始以降、関係者はワクチン接種の重要性を広く国民に訴えてきたが、更に何ができるだろうか。周知・広報は論点の1つとなっており、報道に携わる身としても、これまで以上に考えていく必要があると感じた。
(2024年12月6日掲載)
前後のオピニオン |
◇「PBR 1倍越え」とは (2024年12月13日掲載) |
◆HPVワクチンのキャッチアップ接種 (2024年12月6日掲載) |
◇「目が最初にとらえる物事の表面というものは」 (2024年11月29日掲載) |