オピニオン
希少疾患や難病と向き合う
希少疾患や難病の定義は国によって異なるが、日本においては、希少疾患は「5万人未満」であること、難病は「発病の機構が明らかでない」や「治療方法が確立していない希少な疾病」、「長期にわたり療養を必要とする」に該当するものとされている。仕事柄、取材を通じて希少疾患や難病の患者さんと話をする機会があるのだが、皆さんが共通して訴えている問題として、▽医療関係者や社会からの認知度が低いため理解や支援が得られにくい▽診断までに時間がかかる▽治療選択肢が限られている――が挙げられる。これらを解決するためには、科学技術の発展や教育といった様々な課題に取り組む必要があるが、そう簡単にいくものではなく、何とももどかしい。
患者さんとの会話の中では、製薬企業との関わり方についての話題がしばしば出てくる。私が「製薬企業は近年、希少疾患や難病に取り組む姿勢を打ち出していますね」と話を向けると、あまり実感がないという。実際、何らかのアプローチがあったという話はあまり聞かないし、製薬企業が目を向けているのはあくまでもごく一部の疾患ではないかという。それ以上に、「製薬企業は患者や患者会と仲良くしてはいけないみたい」「患者会という存在を厄介だと思っているようだ」との言葉は悲しく思う。製薬企業や研究者が目を向けることの無い疾患の治療法をどのように開発していくのか、これも大きな課題と言えるのではないか。
(2025年1月31日掲載)
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◇「犬の心臓」 (2025年1月24日掲載) |