オピニオン

中医協が流れた理由

 06年度診療報酬改定論議が遅々として進まない。ある中医協委員は、「従来にも増して遅れている」と嘆息する。中医協は歯科診療報酬を巡る汚職事件を教訓に、これまでの“医科偏重”の審議姿勢を改め、歯科、調剤にも十分な審議時間を設けようと、年度始めの4月から改定審議を開始、8月の盆入り迄に全体論を終わらせ、秋口から各論に入るシナリオを描いていた。しかし実際には全体論の審議でさえ不十分なまま、9月を迎え、その9月も28日の1回しか開催されないお粗末な状況に陥っている。その理由を厚労省に問い質すと異口同音に衆院選を挙げるが、それは実は表向きで、本当の理由は中医協委員の人選問題らしい。実際、衆院選後に予定していた21日の中医協は中止に追い込まれた。
 尾辻厚労相が主宰する「中医協の在り方に関する有識者会議」が7月にまとめた報告書で、委員の任期は最長6年とすることが盛られたが、これにより、診療側委員ら5人の任期が切れる事態となった。改定を目前に控えているこの時期に委員交代となるのは、関係者でなくても随分と理不尽な話であると思う。しかしどうも関係者が問題視する裏には、任期だけではない。人選枠についても、尾辻厚労相が報告書を作成するに当たって、事前に関係団体と根回しをする慣習を取らずに決めたことが問題になっているらしい。尾辻厚労相のこうした行動に対して、ある関係団体が憤慨し、身内の委員交代を頑なに拒んでいるようだ。



(2005年9月30日掲載)



前後のオピニオン

さあ新会社のスタートだ
(2005年10月7日掲載)
◆中医協が流れた理由
(2005年9月30日掲載)
“小泉幕府”と3つの改革
(2005年9月23日掲載)