オピニオン
いわんや“A級戦犯”をや
なぜ小泉さんが、摩擦承知で靖国参拝に行くか。先頃ある識者が、小泉さんが周辺に告げた情報だとして語っていた。曰く、①今までのように脅しのつもりで「行くな」といっても、もうそんな時代じゃない。摩擦があっても行く②中国は勝手に日本を定義している。だったら日本はこういう国なんだというものを見せる③それに対し日本がどうすべきかではなく、そういう日本というものを受け入れるかどうか、中国のポリシーの問題。自国のポリシーを変えたらどうか④いつまでも“戦後の日本”ではない。イコールパートナーとなるべき――。参拝はそのメッセージとのこと。それだけではないだろうが。
「政冷経熱」と言われる中国との関係。ただ昨今は、人件費の上昇や民心の扱いづらさなどから、ベトナムやタイに工場を移す製造業なども出てきている。とはいえ彼我は、特に経済視点で依然、お互いなくして成り立たないほどの関係にあるのも事実。薬業界はどうか。財界では、政治上の摩擦が、中国ビジネス進出の障害だとして片面の不満を唱える傾向もある。が、両国関係については、もう一歩踏み込んだ前向きな視点を持つべきかもしれない。
ちなみに本邦では、理不尽な死を遂げた権力者は、怨霊(おんりょう)となって世をたたるという“お約束”がある。それを時の為政者は祀(まつ)って慰撫(いぶ)してきた。畏れ祀られた御霊では淳仁天皇、崇道天皇、菅原道真公、崇徳院らが有名か。つまり、横死したA級戦犯の御霊が怨霊に変わって世に災いをなさぬよう、為政者がねんごろに祀るというのは、歴史的にむしろ“あり”ということになる。胡さん、そういう国なんです、日本は。そろそろ本物のイコールパートナーになりません? あ、ついでに盧さんも。
(2005年7月29日掲載)
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◇社会保障予算の行方 (2005年8月5日掲載) |
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